【 読み終えた本:三匹の猿 】1月25日

 『三匹の猿 《私立探偵飛鳥井の事件簿》』笠井潔:著 (ベネッセ:刊)

 1995年3月初版発行。私立探偵が主人公の一人称のハードボイルド作品。
 私や俺と言う人称代名詞を使わない文体がユニーク。そして、「?」や「!」という日本語じゃないマークを使っていない事も異色だ。文章に、こだわりがあるように思えるのは、この小説が発表されたのが「海燕」というガチガチの文芸誌だからだろうか。そしてそのせいか、娯楽小説としての文章力が低く、事件の構造が解りにくかった。
 物語の5分の4が進んだ時点でやっと殺人事件が起きるが、それまでは登場人物に魅力がないので、非常に退屈だった。又、調査をする過程で、聞き込みした人物から気になる話が出てくるが、時間が無いという理由で探偵が話を違う方向に進める。そしてその気になる話が後々に伏線になるという手法が2回も出てくる。これは作者都合で、興醒めだった。
 残りの5分の1で、ヒネリのある展開になって面白くなったのが、唯一の救いだったが、探偵にうまく謎を解かせることができなかったせいで、事件の構造の謎解きが犯人の遺書になってしまったのが残念。どうやら、事件の構造を複雑にし過ぎて、作者自身の手に負えなくなったように思える。しかも、その遺書が詳し過ぎて不自然だったし、作者の文体と同じだったのは、興醒めを通り越して呆れた。遺書の文体をそれを書いた作中人物のキャラに合わせないのは、作者の手抜きだと思う。
 この作品は単行本で買って損したと思った。文庫本で充分だった。
 どうでもいい事だが、ベネッセコーポレーションは、旧社名が福武書店で、単行本なのにスピン (栞紐[しおりひも])が付いていなかったり、文字の印刷がかすれて読みにくかったり、造本としてワンランク下の印象を受けた。


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▲京都市伏見区にて。
使用カメラ:キヤノン IXY 220 IS
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by chel-c2009 | 2014-01-25 16:03 | 読書


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